ブックタイトル2017年度 SEAJ 春季講演会

ページ
2/4

このページは 2017年度 SEAJ 春季講演会 の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

2017年度 SEAJ 春季講演会

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

2017年度 SEAJ 春季講演会

16 SEAJ Journal 2017. 8 No. 158回答者として出場した。50年の歴史の中で同じ問題が2回出題されたことがない、という超難解なクイズ番組だが、Watson は歴代最強チャンピオン2人に勝ち、目標を達成した。Jeopardy 出場後、いくつかの企業に導入され、事業検証が行われた。そこで事業化のめどが立ったため、2014年からは「Watson 事業部」が発足している。現状、Watson 活用の輪は世界に広がっており、49か国の20業種、500社以上のパートナー、200の大学で活用されている。3. コグニティブで社会とビジネスの変革、AI(拡張知能)の活用による価値創造事例Watson を活用してビジネスの変革を進めている事例を紹介する。①顧客接点改革(Engagement)コールセンター、営業支援、商品提案アドバイス、リーガルサービス、フィールドサポートなど、顧客との接点をAIを活用して改革しようという動きである。具体的事例として、ウェブサイトやE コマースサイトなどの運営企業によるコンシェルジュサービス「OK SKY(オーケースカイ)」の活用が挙げられる。店舗に行かずにネット通販で洋服を購入する人におすすめのコーディネートを紹介するサービスであり、これを導入することで、ウェブサービスのコンバージョン率を向上させるだけでなく、エンドユーザーである来訪者の利用率向上や、リアル店舗への誘導も実現する。また、Watson を活用した自動運転ミニバス「Olli」による乗客サポートも良い事例として挙げられる。これは、Local Motors という企業が開発した、自動運転の無人バスである。ボディは3D プリンターを使ってわずか10時間で作られており、車体には30個以上のセンサーを搭載している。Watson は車掌の役割を担っており、乗客の顔と名前を憶えて話しかける。「ここに行きたいが下りる停留所を教えてください」「これからの天気はどうなる」といった、乗客の質問にも答えるという。現在、米ワシントンDC において実用化されているほか、マイアミやラスベガスにおいてもパイロット導入が進められている。日本では、銀行や流通業など複数の企業がコールセンター業務の革新に活用している。人のオペレーターの横でWatson がサポートを行うもので、顧客とオペレーターの会話の間に、Watson が過去の履歴をもとに答えの候補をオペレーターの画面に出すというサポートを行う。これにより、時間短縮や顧客満足度向上などが図れるほか、オペレーターのストレス減少、さらには離職率減少にもつなげられるという。②探求・発見(Discovery)Watson は医療分野にも応用されており、患者の命を救った事例も出てきている。東京大学医科学研究所では、診断が難しい60代の女性患者の特殊な白血病をWatson が10分ほどで見抜き、適切な治療法を助言して命を救ったという。この女性は、血液がんの一種である急性骨髄性白血病と診断され入院、2種類の抗がん剤治療を半年続けたが回復が遅く、敗血症などの危険も出てきた。そこで、Watson に女性の遺伝子情報を入力したところ、急性骨髄性白血病のうち「二次性白血病」というタイプであることが分かり、Watson は新しい抗がん剤の候補も提示した。それに基づき抗がん剤を変えた結果、数カ月で回復したという。また、創薬支援でも活用されている。ベイラー医科大学では、がんに効果のある「p53」というたんぱく質の活性化と不活性化を導くたんぱく質を予測するため、p53に関する7万件もの論文をWatson に分析させ、その結果に基づき、新たな研究対象となりうる6つのタンパク質を数週間で特定した(これまでは世界中で1年に最大1つしか発見できなかった)。料理の分野でも活用されている。ニューヨークのプロのシェフの協力のもと、同社は新たな料理レシピを考える「シェフWatson」を開発した。3万種類以上のレシピを学習し、人間のシェフとは異なる視点から食材をとらえ、新たなレシピの考案を支援する。その一例として、かぼちゃとピーマンとしらすを使った、独創的なトルコ風かぼちゃのガトーを生み出した。意外な食材の取り合わせだが、美味