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2017年度 SEAJ 春季講演会

2017年度 SEAJ 春季講演会SEAJ Journal 2017. 8 No. 158 17しく、健康にも良いという。これはWatson が人の創造性加速のヒントを与えた事例だ。③意思決定支援(Decision)企業における意思決定の支援にも活用されている。オーストラリア最大の石油/ガス採掘・製造企業、WoodsideEnergy は、Watson を活用した安全管理を行っている。石油やガスの採掘は危険な作業を伴い、事故が起きてしまうと多額の損害が発生するが、同社はWatson を現場の作業支援や機器の管理に活用している。20年分のレポートをWatson に読ませて分析しているほか、採掘機器のセンサーからの情報、ツイッターなどの天候の情報などを組み合わせて、保守管理に役立てている。保険の支払業務の支援にも活用されている。保険の請求案件は複雑な事案が多いが、Watson は請求内容を理解し、調査ポイントを推定して、過去の類似事例と判断材料を提示する。もちろん審査は人が行うが、Watson 活用により、類似事例をピンポイントで確認、人が判断するための材料を提供できる。人材やM&A などのマッチング支援にも活用されている。企業の概要や社風、案件情報をWatson が網羅的に調べ、人の履歴書や職務経歴書、対象企業の特徴などとマッチングし、コーディネーターに最善策を提案する。これにより、マッチングにかかる時間を短縮できる。面談の回数を平均5.2回から1.2回に低減できたという。このように、Watson はあらゆる業界で活用が進んでおり、コグニティブ・サービスの基盤として進化を遂げている。4.最先端技術の動向コグニティブ・システムは、論理的思考が可能な人間の左脳の機能(ディベート、機械学習の進化、数理解析など)に加え、今後は感性を司る右脳(画像や動画の認識、話し言葉・会話、表情や行動の理解、感情の評価)の機能も必要になり研究を進めている。そのため、現状のシステムはCPU(IBM の場合はPower シリーズ)に加えて、エヌビディアのGPU も使って並列処理する必要がある。ただ、それでも処理能力としては今後足りなくなる。今後のコグニティブ・コンピューターは、人間の神経系を模したニューロモーフィック・チップや、量子コンピューターを搭載していくことになる。同社はニューロモーフィック・チップも開発中。第二世代まで開発しており、第一世代が256個のニューロン、26万個のシナプス、380万個のトランジスタを持つ。第二世代は進化しており、100万個のニューロン、2億5600万個のシナプス、54億個のトランジスタを搭載している。開発にあたっては、位相変化メモリーの技術を応用している。このニューロモーフィック・チップは、顔のイメージや声による個人認識、手書き文字の認識などに利用できる。これは、蜂の脳に相当する能力だが、100個で猫の脳に相当する。猫の脳をさらに1000個合わせて人間の脳と同等になる。wikipediaNeuronNeuronSynapseAxonDendrite256 neurons, 256k synapses,field-programmableMerolla et al., 2011; Arthur et al., 2012さらに、同社は量子コンピューターも開発中。50年前から研究しているが、従来の量子コンピューターは、特殊な計算は得意だが、汎用的な計算は苦手という課題があった。同社は、汎用な計算もできる量子コンピュータの実現を目指している。昨年、「量子エキスペリエンス」というネットワークを通して世界中から量子コンピュータにアクセスし利用できる無料のプログラムを開始した。現在、4万人以上が利用している。さらに、今年、「IBM Q」という商用サービスを発表した。世界最小のコンピューターを開発中で2018年末には発表の予定だ。まとめAI(拡張機能)を含むコグニティブ・システムは、あくまで人を支援し、人と協調することにより、価値を発揮するものである。今後はさらなる技術革新による進化が必要になるが、そこは半導体やナノテクノロジーが重要なカギを握っている。