ブックタイトル進化するフラットパネル・ディスプレイ技術

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進化するフラットパネル・ディスプレイ技術

SEAJ Journal 2018. 4 No. 161 11進化するフラットパネル・ディスプレイ技術ライエッチングを用いる(図2(a))。次に、ガラス基板を1/2に切断した後、OLED の有機発光層工程に進む(図2(b))。発光層、陰極(半透過電極)形成後、TFE を形成する。成膜はTFE 形成のCVD を除き、基板を装置上部に下向きに配置、下側から成膜する真空蒸着法で行う。ガラス基板を切断する理由は蒸着装置及び後述のメタルマスク精度に関するサイズ制約による。画素毎のパターニングは下向きの基板に、開口部を有するインバー(鉄、ニッケル合金)材で作ったメタルマスクを密着させ、この開口を介して蒸着することで行う。小型サイズ向けOLED 製法の特徴はこのメタルマスクを用いた真空蒸着にある。OLED 形成に対しては、その製造工程中さらに製造終了後においても外部からのOLED 層への水分侵入を徹底して防ぐ必要がある。これは、OLED では水分・酸素あるいは水分を含む異物を起点として進行するダークスポット表示不良が発生するためである。この対応を行う上で、メタルマスクを用いた真空蒸着法は好適な製法である。このため、OLED 及びそれ以降工程でのパターニングにおいては、ホトレジスト塗布及びこれに続くエッチング加工は行われてこなかった。特にウエットエッチングは厳禁である。さらに、蒸着工程以降では、TFE のCVD 成膜を含めて100℃程度以下の低温で行い、蒸着層にダメージを与えないように注意深く製造されている。最後は、機能性機材フィルムのタッチセンサ、円偏光を貼り付ける工程となる(図2(c))。この工程中に、図2(b)のガラス基板はPI とガラス基板の境界から分離(リフトオフ)される。この分離は、ガラス基板の下部からエキシマレーザを照射、境界部のPI を化学反応させて分離する。続けて、下部よりプリエチレンテレフタレート(PET)のようなプラスチック基材を貼り付ける。フレキシブル性は、このガラス基板をリフトオフすることで得られる。このため、スマートフォンのカバーガラスが曲面形状をしていてもフレキシブルOLED をその形状に合わせて容易に貼り付けることができる。また、将来登場するフォーダブル(折り畳み)型の機器に対しては、カバーガラス自身を極めて薄くして柔軟性を持たせるか、これをハードコートフィルムに代えることで実現することになる。2-2 効率改善を目指すOLED 構造OLED 構造は、昨年から変化し始めている。ポイントはTFE 以降の工程で貼り合わせていたフィルム機材の内蔵化である。先行するパネルメーカは本分野シェアトップのサムソンディスプレイ(SDC)である。図3は内蔵化を取り入れて量産が開始されたフレキシブルOLED の推定構造である。この構造は図1のフィルムタッチセンサを内蔵タッチセンサに置き換えたものである。同図(a)は断面、(b)は平面図である。タッチセンサは2つのメタル電極間に掛かる投影電界に対して指などの操作で影響を受けたことを検知する相互静電容量タイプである。図2 フレキシブルOLEDの製造工程図3 タッチセンサ内蔵型フレキシブルOLEDPI/SiO2/PIPMOSLTPS陽極(ITO on Ag)TFTバンクTFTガラス基板円偏光板粘着材フィルムタッチセンサ封止膜(SiN3層)接着材 or 粘着材PI/SiO2/PIPETPMOSLTPS粘着材陰極(MgAg)有機発光層TFT 陽極(ITO on Ag) OLED封止膜(SiN3層)PI/SiO2/PIPMOSLTPS陰極(MgAg)有機発光層陽極(ITO on Ag) TFT OLEDTFTガラス基板バンク(a)(b)(c)(a)円偏光板粘着材封止膜接着材 or 粘着材PI/SiO2/PIPET陰極(半透過)有機発光層陽極(反射)OLED絶縁膜メタルメタル 内蔵タッチセンサTFTバンク(b)BB BR RRG GG Gメタル配線メタル配線