ブックタイトル進化するフラットパネル・ディスプレイ技術

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概要

進化するフラットパネル・ディスプレイ技術

SEAJ Journal 2018. 4 No. 161 13進化するフラットパネル・ディスプレイ技術他方、このCF 内蔵方式においては、発光層からの出射光と同色のCF を各画素に配置するため、OLED 出射光は減衰しない。そのため、円偏光板を使う方式に比べて効率は約2倍(消費電力は1/2)に改善できる。逆に言えば、円偏光板を使うOLED と同一の輝度を出すのであれば、OLED 電流を1/2にすることができることになる。OLED 設計においては寿命が第1優先項目である。この寿命は電流密度のべき乗に反比例する。べき乗の係数nは経験的に1.1から2の間の数字が各社の設計で使われている。従って、電流密度が1/2にできれば、OLED の最大課題である寿命が2.1~4倍に改善できることになる。このCF 内蔵方式は効率のみならず寿命改善に対しても大きな効果があることになる。そのため、この内蔵技術はフレキシブルOLED の将来進化へ大きな影響を与えるものになる、と考える。TE 型とCF を組み合わせて外光反射を抑える方式は、過去ソニーが生産・発売してきたOLED TV に使われていた。ただし、当時はBM とCF を形成したガラス基板とTFTが形成されたガラス基板を画素単位で位置合わせして貼り合わせることでこれを実現していた。今回のような画素密度(ppi)の高いスマートフォン用のOLED に対して、この貼り合わせ製法は、合わせずれによる開口率低下が大きいこと、CF ガラス基板を使うと最終的にフレキシブル化する際のリフトオフ工程が追加される、点で使うことは難しいと考えている。結果として、OLED 基板上のTFE あるいはタッチセンサ上に続けて内蔵加工することが必要になる。3.効率(消費電力)改善効果の見積もりCF 内蔵型フレキシブルOLED をスマートフォンに適用した場合の効率(消費電力)改善効果を計算する。併せて、その消費電力を既存の円偏光板を採用したOLED 及びLCDと比較する。表1は既存のOLED 及びLCD と比較したCF 内蔵方式OLED の光源消費電力の計算結果を示す。比較となる既存品の仕様、輝度、コントラスト比、及び光源電力はディスプレイの光学評価結果を公開しているDisplay Mate 社の値を用いた。表1の下部にその引用先を掲載している。この公開数字を前提にした計算結果を議論する。スマートフォン用表示デバイスの仕様、性能は、セットメーカの狙いにより個々異なる。採用した表示デバイスの技術的な基本性能差だけでは決まらない。例えば、全白表示での輝度はGalaxy S8に比べてiPhone X は高く設定され、その値は同社のLCD 製品であるiPhone 7(iPhone 8のデータは公表されておらず、今回は1年古い製品のデータで比較した)に近いことがわかる。消費電力については、まず相対光源電力を見て頂きたい。これは、同一輝度、同一表示面積に換算したもので、LCDに対して規格化したものである。既存製品では、全白表示では、OLED はLCD より約1.7から2.1倍と高く、50%白窓表示では0.82から1.13倍となっている。すなわち、実使用の画像表示状態(白窓が50%近辺)を考えるとOLED は既にLCD と同等の消費電力レベルに達していることがわかる。実測データに基づくと、円偏光板を除去すると透過率は1.8倍に改善する。これを使って計算した消費電力はiPhoneX を基準にするならば、全白表示でLCD に対して1.18倍、50%白窓表示で0.63倍となる。すなわち、実使用状態ではCF 内蔵型フレキシブルOLED はLCD よりも低消費電力が見込めることになる。上記消費電力はあくまでもiPhone X を基準にした計算で表1 スマートフォン適用を想定したCF 内蔵型フレキシブルOLED の光源消費電力計算分類OLED LCDGalaxy S8 iPhone X CF内蔵方式 iPhone 7販売開始月 2017年4月 2017年11月 - 2016年9月外光反射低減技術 円偏光板 ← BM+CF+AR -仕様対角:inch 5.8 5.85 ← (仮定値) 4.7解像度(アスペクト比) 1440×2960(18.5:9) 1125×2436(19.5:9) ← 1334X750 (16:9)ppi 570(RB403) 458(RB324) ← 326画素(色)配列 ペンタイル ペンタイル ← ストライプ輝度全白輝度:cd/m2 420 634 ← 602ピーク輝度:cd/m21020Auto Brightness809Auto Brightness←705Auto Brightnessコントラストat 0 lux Infinite Infinite ← 1762明室(AutoBrightness) 227 180 (若干低下と予想) 160光源電力(輝度):W 全白 1.75(420) 3.25(634) 1.82(634) 1.08(602)相対光源電力:サイズ/輝度換算全白602cd/m2@4.7” 1.66 2.10 1.18 (0.93*) 1.0050%白窓 0.82 1.13 0.63 (0.46*) 1.00VDD:V 電力フィッティング値 6.03 7.54 7.54(6.03) -円偏光板除去による効率改善(消費電力低減)効果:1.78倍(×0.56)、* :( )はGalaxy-S8からの改善参考: http://www.displaymate.com/Galaxy_S8_ShootOut_01.htmhttp://www.displaymate.com/iPhoneX_ShootOut_1a.htmhttp://www.displaymate.com/iPhone7_ShootOut_1.htm