半導体製造装置用語集(計測 : Metrology)

半導体製造装置用語集

計測 (metrology)

1.形状観察

AFM (Atomic Force Microscope)

原子間力顕微鏡の略。探針と試料との間に作用する力(原子間力)を検出することで、試料の表面形状を画像化する装置。探針はカンチレバーに取りつけられており、カンチレバーのたわみ量を一定になるように探針・試料間距離を制御しながらX, Y方向を走査する。ここで原子間力とは、原子と原子が近づいた際、原子内の双極子モーメントによって発生するポテンシャルの勾配を示す。原子間距離が約5Å以内に近づくと、斥力が働き、それ以上に離れると引力が働く。

Diffractogram Tableau

入射ビームを1~2度位傾け方位角を次々に変えて撮ったアモルファス試料の高倍像のフーリエ変換図形(Diffractogram)を、2次元的に表示したもの。Zemlin Tableauとも呼ばれ、このTableauに現れる図形の楕円度や対称性から収差を解析できる。

HAADF-STEM (High-Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy)

STEMにおいて、格子振動による熱散漫散乱によって高角度に非弾性散乱された電子の積分強度を像として表示する手法。分解能は入射電子ビームの大きさで決まり、0.1nmを切る装置もある。EELSとの併用によって、原子レベルでの元素分析が可能である。

STEM (Scanning Transmission Electron Microscope)

薄切りした試料を透過するきわめて細い電子ビームで走査を行い、検出装置がつくり出す像の明るさを、試料の原子番号又は結晶構造の変化を利用して、画像化する電子顕微鏡。元素分析装置と併用して物質の組成解析に用いられる。

TEM (Transmission Electron Microscope)

一次熱電子または電界電子による回折、あるいは透過拡大像を記録する電子顕微鏡。薄膜試料に電子線を透過させ、試料内部の原子によって散乱・回折された透過電子像から、原子レベルで物質内部構造を画像化する装置。

原子間力

原子と原子が近づいた際、原子内の双極子モーメントによって発生するポテンシャルの勾配を示す。原子間距離が約 5 Å 以内に近づくと、斥力が働き、それ以上に離れると引力が働く。

2.欠陥検査

ADC (Automatic Defect Classification)

自動欠陥分類の略。画像サーバに格納された欠陥画像情報を、事前に定められたルールに基づき分類ソフトウエアにより欠陥発生原因ごとにクラス分けし、分類サーバに再格納する。分類された情報は歩留り管理システム(YMS)や工場ホストに上げ、欠陥の発生原因追求や解析に用いられる。

ADR (Automatic Defect Review)

自動欠陥レビューの略。欠陥レビューは、ウェーハ検査装置にて検出した異物、欠陥等の形状、成分等をより詳しく観察、分類、分析すること。自動欠陥レビューは、欠陥検査で取得された欠陥情報(座標など)により、自動的に目的の欠陥画像取得、データ保存を行いデータベース化すること。

DUV (Deep Ultra Violet)

遠紫外線の略。欠陥検査など光学式検査装置に使用する光源(波長248nm、266nm)。高分解能検査装置が要求され短波長化が進んでいる。

EDX (Energy Dispersive X-Ray Spectroscopy)

エネルギー分散型X線分光の略。欠陥領域など元素分析する対象物に電子線を当て、放出される元素固有の特性X線エネルギを分析して構成元素を同定する分析手法。EDSともいう。

EPMA (Electron Probe Micro Analyzer)

試料に細く絞った高いエネルギーの電子プローブを照射して、励起すると試料から特性X線が放射され、そのスペクトル線の波長及び強度から試料の微小領域の定性及び定量分析を行う方法。

FIB (Focused Ion Beam)

集束イオンビームの略。走査型電子顕微鏡(SEM)と同様なシステムを用いて、金属イオン源から集束したビームを用い、半導体の局所的加工、加工断面・表面の観察が出来る。局所的にエッチング加工することでデバイス断面観察が可能であり、半導体デバイスの故障解析、不良解析に不可欠な技術である。イオン源には液体金属のGaが用いられる。

HAR (High Aspect Ratio)

高アスペクト比の略。アスペクト比は、広義には長方形の縦横比のこと。半導体製造でのアスペクト比は、エッチングなどでウェーハ上に形成されたパターンの深さと幅の比。アスペクト比 =深さ/幅  で表され、高アスペクト比は、この値が大きいことであり、加工・計測などが難しくなる。

MDC (Manual Defect Classification)

手動欠陥分類の略。 ADC の欠陥分類ミス修正 やエンジニアによる詳細な欠陥分類、ADC を運用できない工程の欠陥分類など、自動欠陥分類(ADC)できない欠陥をエンジニアが判断し分類すること。

SEM (Scanning Electron Microscope)

走査型電子顕微鏡の略。電子ビームを試料に照射すると、照射面から二次電子が発生する。発生する二次電子量は、試料の材質、形状、電位状態により変化するため、その情報から試料の状態を観察することができる。照射電子ビームを試料面に走査させ、二次電子情報を強度分布として画面上に表示する。半導体デバイスや製造工程での構造解析、不良解析に不可欠な装置。

UV (Ultra Violet)

紫外線の略。欠陥検査など光学式検査装置に使用する光源(波長365nm)。高分解能検査装置が要求され短波長化が進んでいる。

XPS (X-ray Photoelectron Spectrometer)

試料に一定エネルギーのX線を照射し、発生する光電子の運動エネルギーを測定し、試料構成原子の化学シフトにより、結合状態を知る方法。

YMS (Yield Management System)

歩留まり管理システムの略。歩留まりモニタと欠陥検査~解析、その結果に基づく欠陥発生工程へのフィードバックやAPC(Advanced Process Control)による装置レシピへのフィードフォワードなどの処置・対策を行いながら総合的に歩留まりを管理・向上させる統合システム。

DFM (Desigh For Manufacturability / Manufacturing) 製造のための最適設計

デバイス製造における欠陥低減など、歩留まり向上を考慮した設計のこと。

3.in-situ測定

in-situ測定

プロセス装置内、プロセス中に測定することで測定対象は圧力、温度、研磨膜厚などのプロセス環境、あるいはエッチング量や膜厚変化などである。測定結果をプロセス条件にフィードバックし良好なプロセス条件を維持し、プロセスを進行あるいは終了させる。
in-situ の発音は語源のラテン語の発音に従って「インサイチュウ」に統一するのが良いと考える。

エロージョン

上層配線と下層配線を結ぶビヤの形成やダマシン配線の形成に金属膜のCMP技術が使われる。このときビヤや配線パターンが無い部分に比べ、ビヤや配線が密に並んだ部分の絶縁膜が薄くなる現象。

研磨終点検出

グローバル平坦化 CMP において、層間絶縁膜または金属膜研磨の、エロージョン、ディシング等の研磨過剰または研磨残しを防ために、研磨終点を検出することを終点検出という。

コンタクトホール

シリコン基板の導電層やゲート電極と上層配線、或いは上層と下層の配線を結ぶために設けられた導線をとるための配線箇所のこと。

スラリー

ポリシングに用いられる砥粒を分散した液体。

層間絶縁膜 (ILD)

LSI デバイスを構成するトランジスタやキャパシターの電極を外部に取り出すためには、ウェーハ上に絶縁膜をつけ、コンタクトホールを開けて Al ,又は Cu の薄膜をスパッタなどの手段で成膜し、フォトレジストでパターンニング後、エッチングして配線を形成する。その配線を絶縁物で埋めた後、コンタクトホールを開け、更に上の層の配線が行われ、これが繰り返され多層となる。この配線間を埋める絶縁物を層間絶縁物という。ILD:(Inter Layer Dielectrics)層間絶縁膜-配線間を埋める絶縁物を層間絶縁膜という。

ディシング

ダマシン配線で金属配線の中央が薄くなる現象。シャロートレンチ(STI)を形成する工程でトレンチ領域の絶縁膜の中央が薄くなる現象。

ビヤホール

多層メタル配線の層間を結ぶ配線のこと。

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