半導体製造装置用語集(Modeling and Siumulation)

半導体製造装置用語集

Modeling and Simulation

APC (Advanced Process Control)

半導体産業では、一般的に"Run to Run制御"の意味に使用される。フィードバック制御と呼ばれるプロセス結果、又は現在のプロセス状況を元に"戻って"プロセスを変更する手法と、フィードフォワード制御と呼ばれるプロセス前情報を利用して"予測して"プロセスを変更する手法がある。

ex-situ

"ex-situ"測定の意味で使用し、プロセスチャンバ外でプロセス状況を測定することを意味する。装置外で測定することが一般的であるが、装置内で雰囲気制御を行ったまま測定することも含む。

FDC (Fault Detection and Classification)

それぞれの半導体製造装置出力のモニターを行い、異常を検出した場合、その結果を統計的に処理することにより異常の種類を分類する技術。

in-situ

"in-situ"は、ラテン語で"もとの位置に"や"本来の場所に"の意味。本編では、"in-situ"測定の意味で使用し、プロセスチャンバ内でプロセス状況を測定することを意味する。実時間制御に適用する場合、測定するタイミングはプロセス中であることが望ましい。

SVA (Singular Value Analysis)

多変数制御系の大型マトリックスの計算誤差を最小化する方法。主因子分析の一種。

TCAD

物理・化学に基づいたモデル化により、半導体のデバイス、作成プロセス、製造装置などを、コンピュータ上で最適化する手法。主に、装置シミュレータ、プロセスシミュレータ、デバイスシミュレータからなる。

Virtual Sensor

例えば、直接ウェーハ温度を測定するのではなく、反応室近傍の温度を直接測定し、その結果をもとにシミュレーションによりウェーハ温度を推定する方法。

FDTD法

Finite Difference Time Domain Method の略。FDTD 法とは,マックスウェルの方程式を時間,空間で差分化し,解析空間の電磁界の時間変化を直接計算する方法である。電界節点と磁界節点が時間的にも空間的にも半ステップ分ずれた差分化となっていて、電界と磁界を交互に計算する。計算時間が長いという欠点をもつが、コンピュータの高速化とともに近年良く用いられるようになった。

エミッタンス

イオンや電子などの荷電粒子ビームにおいて、ビームの広がりを表わす物理量。横軸を光軸からの距離とし、縦軸を光軸となす角度として、光軸に直交する任意の断面でのビームの分布を表わしたもの。分布そのものをエミッタンスプロットと呼び、この平面状でのビームの占める面積をエミッタンスと呼ぶ場合もある。

エロージョン

CMP プロセスにおいて微細配線部で絶縁膜が Cu と共にはがれる現象。

応答曲面

条件パラメータ(x1, x2, ...)と出力応答量fの間の関係を表す関数 f(x1, x2, ... )。通常は、何点かの解析もしくは実験結果を用いて統計的に近似した関数である。一般的には,解析や実験点のパラメータ設定に実験計画法が使われ,関数の近似に最小二乗法が使われる。これを最適設計に用いることは PC の発達とともに米国で品質工学において発達した。

重み付き移動平均

移動平均は、ある時間内の複数データの平均を特定時刻の代表データとして見ることにより、ばらつきの大きいデータの大域的時間推移を見る方法であるが、平均を取る際に新しいデータにより大きな重みを加える方法を重み付き移動平均という。単純な移動平均より、データの急変に対する応答性が良い。

学習制御

モデリングの困難な複雑な系を自動制御する手法の一つ。系の入力パラメータを変化させた際の事後情報を何らかの形で評価し、これ等のデータを自動的に蓄積しながら、より良い制御入力を見出す方法。アルゴリズムとしては、ニューラルネットワークなどが用いられる。

仮想反応炉

計算機上で化学反応(CVD)を生じさせ、膜厚分布や抵抗率分布などの膜質特性を算出する概念です。本概念の導入により、装置やプロセス開発期間の短縮、開発コストが大幅に低減できる可能性が大きい。最先端では、米国ボーイング社が流体解析の計算で、いきなり飛行機の量産機を製作している例がある。

Galerkin法

三角多項式を与えられた方程式に代入し、同数の調和項を比較して多項式の係数を決定する方法。

カルマンフィルタ

システム制御で用いられる手法の一つで、雑音を含む測定を繰り返す事により、状態を推定する方法。雑音が Gauss 分布で、かつ被測定系の状態が線形常微分方程式で記述される場合、前回の推定値と新しい測定値から、新しい推定値(平均値と共分散)が正確に与えられる。

感度解析

応答( 結果 )に対する因子( 原因 )が複数ある場合、どの因子がその応答に対して影響が大きいかを解析する手法。

均一温度制御技術 (Uniform Temperature Control)

複数の温度制御の動作を協調させることにより、それら複数の温度を過渡状態においても均一の状態に維持することを可能にする制御技術。半導体ウェーハの精密温度制御や大型チャンバのゾーン制御などを対象に、傾斜温度制御法,ΔL制御法,FOLLOWER制御法などが汎用的な技術として実用化されている。

グリッドコンピューティング

分散して存在する異種の計算機をネットワーク(グリッド)で結合して、仮想的に高性能計算機とする技術であり、用途や目的などに応じて計算機の処理能力を柔軟かつ効率的に運用することを目的としている。

形態係数

輻射による熱伝達を解析する際に用いられる手段。ある面から放射された輻射のうち、別のある面に到達する割合を、二つの面の幾何学的な形状から表わしたものを形態係数と呼ぶ。光源もしくは二次光源からの輻射の角度分布として、ランバートの余弦法則を仮定しており、拡散面での輻射を表わすのに用いられる。

光線追跡法

光沢のある面(非拡散面)での輻射の伝達を解析する際に用いられる手法。光線から放射される光を計算機上において有限個の光線で近似し、計算それぞれが反射や吸収される様子を、強度がある一定レベル以下になるまで追跡する。モンテカルロ法と組み合わされて用いられることが多い。

混合モデル

弱電離プラズマについての計算機シミュレーションには、大別して粒子モデルと流体モデルがある。粒子モデルは個々の代表粒子の運動を直接追跡するので長大な計算時間を要するが、前提とする仮定が流体モデルに比べて少ないため適用範囲が広いという特徴がある。一方、流体モデルはプラズマを流体として扱うため計算時間を短く出来るが、マックスウェル分布を前提としているため適用範囲が限られる。これ等の折衷法として考え出されたのが混合モデルである。混合モデルでは非平衡性の大きい( 高速 )電子を粒子モデルで扱い、重いイオンを流体モデルで扱うため、粒子モデルと同等の適用範囲を確保しつつ、粒子モデルに比べて計算時間を少なくできるという利点がある。

最大原理 (Maximum Principle)

操作量に制約のある最適制御問題でHamilton関数を用いて解く方法。L.Pontryaginよって導入された。

最適レギュレータ

システム制御で用いられる手法の一つで、状態の目標値からの偏差の二乗と入力の二乗の和からなる評価関数を最小にする制御方法。系の状態が線形常微分方程式で記述される場合、これを満たす制御は、一意的に決定される利得行列を状態の偏差に掛けたフィードバックにより得られる。

時間分割シミュレーション

時間をパラメータに解析する手法。例えば、A ガスや B ガスが定常的に流れている炉に C ガスを流し始めたとき、C ガスが時間とともにどのように広がっていくか、時間をパラメータに解析するのが「時間分割シミュレーション」である。

システム制御

系の入力と出力の関係を何らかの方法(システム同定実験もしくはシミュレーション)から求め、安定した出力を得る現代的な制御手法。多入力、多出力にも対応できるのが特徴。他分野では安定したオンライン管理の手法として、実績がある。

実時間制御 (Real-time control)

ウェーハ処理の最中に、温度や電圧などのパラメータを常時モニターし、処理速度や均一性などの偏差が小さくなるように、フィードバック制御によりプロセス条件に修正を加える制御方法。

スケールアナリシス

流体の解析などにおいては、系の大まかな構造を示すものとして、レイノルズ数などの無次元量が良く用いられる。流体や構造物の数値解析をする際に、対象となるモデルを、これ等の無次元量が同一で、かつより解析が容易なモデルに置き換えて、系の大まかな構造を把握する方法。

直接シミュレーションモンテカルロ法

連続体とみなせないような低圧ガスの流れの解析手法で、少数の代表ガス分子の運動・衝突を確率に基づいて同時に追跡することにより、全体の流れを計算するという方法。

ディッシング

CMP プロセスにおいて幅広パターンでの配線断面が皿状にくぼむ現象。

適応制御 (Adaptive Control)

プロセスの内部パラメータの変動に応じて調節モードを変更する制御。

ニューラルネットワーク

生物の神経情報処理過程をモデル化した、時系列信号の情報処理。入力と出力の関係を学習することにより、広範な条件での結果を推測できるようになる。非線型で非定常的な系の制御に用いられる。特に、出力から入力を推定するいわゆる逆問題に、有効性を発揮する。

Hamilton関数

積分汎関数の極値問題で導入される微分方程式で、変分におけるEuler方程式の形を変えたもの。

パラレルプロセッシング

一つのジョブ(シミュレーション)を複数の計算機に分けて並列計算処理する方法。

半経験的手法

シミュレーションに用いる必要なデータを、一部実験データを用いて評価する手法。

PIC法

Particle-In-Cell 法の略。粒子シミュレーションの代表的な方法の一つ。空間を格子で分割し、その内部に多数存在する粒子(電子など)を有限の大きさの粒子で代表し、これにより電場や磁場などによる粒子の運動と、粒子による場(電場など)を計算する手法。

PCクラスタ

PC(Personal Computer)クラスタは2台以上の PC をネットワークで連結するもの。処理能力の高い計算システムとすることで、システムを安く構築できることが特徴。

Phase Field 法

相転移の時間変化を求める、数値計算法の一つ。非平衡熱力学の理論である、相転移においてギンズブルグ-ランダウ自由エネルギーが極小値をとる事を用いて、定式化される。

分子動力学

多数の分子・原子の個々の運動の時間発展をコンピュータ上で同時に追跡することにより、分子・原子の集団としての性質を解析する手法。

Hotelling統計

多変量分散分析手法の一つで、多次正規分布の標本の平均値からの距離の自乗を用いて検定する方法。

ホモトピー法

既知の解をもつある方程式を別の目的方程式に連続変形させ、同時にその方程式の解を既知解から連続的に追跡することによって目的方程式の解を求める手法。
アルゴリズム

  1. 解くべきn次方程式 f(x)=0
  2. 既知の解x0をもつ補助的方程式g(x)=0とパラメータt(0<=t<=1) を導入
  3. ホモトピー関数を h(x, t) を定義:h(x, t) =tf(x)+(1-t)g(x)
  4. h(x, t)の解を(x0, 0)から追跡し(x*, 1)を求める。x* がf(x)の解となる。

モンテカルロ法

何らかの現象を、乱数を用いて数値的にシミュレートする方法の総称。偶発的な現象の解析のみならず、複雑な現象の解析にも用いられる。その現象を表現する分布の乱数を発生させ、少ない計算量で近似的な解析結果を得る事が出来る。後者の例としては、多数の粒子での散乱の解析などが挙げられる。

有限差分法

微分方程式で記述される連続体空間を直交座標系で離散化する計算方法。離散化された連立一次方程式が単純なバンド行列になるため、専用行列ソルバーと組み合わせることにより大規模で高速な計算ができる。解析対象空間が比較的単純な材料要素で構成される分野で発展した。

有限要素法

連続体を、微少な領域でのみ値をもつ単純な関数の重ね合わせで近似する計算方法。当初は固体力学の数値解析(構造解析)の手法として開発されたが、偏微分方程式で記述される問題の数値解析法としても、広範に用いられている。複雑な形状でも、比較的容易に数値解析を行えるのが特徴。

量子化学計算

主に熱化学反応を量子力学的に取り扱う計算手法であり、プラズマ中の反応を取り扱うプラズマ化学計算と区別して使用する。

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