EU REACH規則に関するFAQ

EU REACH規則に関するFAQ

SEAJ環境情報専門委員会

公開:2020/11/24

更新:2022/12/26

  • * 本FAQは、環境法規則解釈の参考情報としてご活用いただくことを目的としてSEAJ環境情報専門委員会が作成したものです。
    執筆者の知見に基づく独自の見解を含んでおり、法的厳密性を保証するものではありません。法令の内容解釈に関しましては、必ず原文をご参照の上、各社様の判断でご対応下さい。

EU REACH規則の正式名称は何ですか?

  • Registration(登録),Evaluation(評価),Authorisation(認可)and Restriction(制限)of Chemicals(化学品)となります。EUにおいて化学物質の総合的な登録・評価・認可・制限を行うため、2007年6月1日に施行されました。

EUでは、どのような法体系となりますか?

  • EU法は、一次法、二次法、EU司法裁判所判例の3つに分かれます。  一次法はEUの基本条約を指し、二次法は一次法を根拠に制定される法令となり、規則(Regulation)、指令(Directive)、決定(Decision)、勧告(Recommendation)、意見(Opinion)があります。  REACHは、規則(Regulation)になります。EU加盟国の国内法に優先し、加盟国の政府や企業、個人に直接適用されます。  なお、RoHSは指令(Directive)になります。EU加盟国の政府に対して直接的な法的拘束力を及ぼします。各加盟国は、政策目標を達成するために国内立法等の措置を取ることが求められます。

要求事項は何ですか?

  • REACH規制はEU域下で化学物質の製造、輸入に関して下記を要求しています。
    ・登録(Registration)(REACH規則 第10条)
    化学物質を年間1tを超えて製造または輸入する製造・輸入事業者による、化学物質の安全情報の提出と登録
    さらに、成形品から意図的に放出する化学物質も登録が必要。
    ・評価(Evaluation)(REACH規則 第44条)
    ECHA(欧州化学品庁)とEU加盟国による、登録化学物質がSVHC(高懸念物質)に該当するかどうかの評価
    ・認可(Authorization)(REACH規則 第56条)
    SVHC中での高リスク化学物質(認可対象物質:付属書ⅩⅣ)についての製造・輸入に関する認可 ・制限(Restriction)(REACH規則 第67条)
    制限物質リスト(付属書ⅩⅦ)に載せられた化学物質の制限

EU REACH規則の対象となる物質は何ですか?

  • 発がん性、生殖毒性、生物蓄積性、難分解物質といった人の健康及び環境に対して非常に高い懸念を抱かせる物質が対象になります。SVHCの中でもREACH規則第57条で規定されている分類ではCMR(発がん性、変異原性、生殖毒性)PBT(難分解性、生体蓄積性、毒性物質)vPvB(極めて難分解性、生体蓄積性の高い物質)となります。例として、RoHS指令で追加禁止されたフタル酸関係も含まれています。また化学品に加えて成形品も規制対象に含まれます。

SVHCとは何ですか? どのくらいの頻度で見直しされますか?

  • SVHCとは、高懸念物質(substances of very high concern)のことで、REACH規則の附属書ⅩⅣに収載される認可対象物質の候補になる物質です。また、SVHCは以下のa)~f)に分類、定義されています。(REACH規則第57条に掲載)
    a) 発がん性区分1A、1Bの物質
    b) 変異原性区分1A、1Bの物質
    c) 生殖毒性区分1A、1Bの物質
    環境に影響を及ぼす物質
    d) PBT物質
    e) vPvB物質
    その他
    f) 内分泌かく乱性物質や、PBT物質、vPvB物質の基準を満たさないが、極めて健康や環境に深刻な影響を及ぼすおそれがある物質 見直し頻度はおおよそ半年に1回行われています。最新情報はECHAのページを参照下さい。https://echa.europa.eu/candidate-list-table

成形品とはどのようなものですか? 情報伝達の対象となる成形品はどのように判断しますか?

  • 「成形品とは、化学組成によって決定されるよりも大きく機能を決定する特定の形状、表面またはデザインが生産時に与えられた物質を指す」と定義されてます。
    例えば、ボルトやナットなどその形状そのものが機能となる部品類や、その集合体である装置なども成形品と考える事ができます。
    また情報伝達の要否については以下の特性を持っている成形品はEU国内の輸入者が必要に応じて当局登録や届出を行う必要があるため、日本メーカーは含有情報の提供をする必要があります。
    ①SVHCを0.1wt%以上含んでいる
    ②意図的放出する化学物質を含んでいる
    ※なお、①の場合には情報提示の要請があった日から45日以内に無償で情報提供する必要があるため、注意が必要です。0.1wt%の算出に当たってはECHAのガイダンス文書を参照下さい。 https://echa.europa.eu/documents/10162/2324906/articles_en.pdf

SVHCの含有情報をデータベースに登録する必要があると聞きましたが、どのような法律に基づくものですか?

  • 廃棄物枠組み指令の改正(DIRECTIVE (EU)2018/851)により、2021年1月5日以降にEUへ上市する成形品を対象として、EU域内の製造/加工/輸入/流通に関わる事業者はSVHCの濃度が0.1wt%を超える場合、その含有情報をECHAが構築するデータベース(SCIP※ DB)に提供することが義務付けられました。
    この改正の目的は、SVHCの含有情報は、REACH規則の第33条によって、成形品の受領者に伝達されますが、成形品を処分する廃棄物処理業者には伝達されないため、廃棄される成形品中のSVHCが、リサイクルした部品などに含まれる可能性があります。廃棄物枠組み指令は、このSVHCの含有情報を廃棄物処理業者へ伝達し、廃棄物を安全かつ適切に処理することを目的に改正されました。
    ※SCIP:Substances of Concern In articles as such or in complex objects (Products)

SCIPデータベースに登録する情報はどのようなものですか?

  • REACH規則の中で、SVHCは認可対象候補リスト(Candidate List)に掲載されます。SCIPデータベースの登録対象は、認可対象候補リストに掲載されたSVHCが0.1wt%を超える含有がある成形品(Article)、その成形品(Article)の複合品および製品です。
    登録する情報は、成形品の名称(Article name)、識別子(Primary article identifier)、成形品カテゴリー(Article category)、EU域内製造(Productionin the EU)、安全使用情報(Safe use instructions)、SVHC物質情報(Candidate list substance)、含有濃度範囲(Concentration range)、材質カテゴリー(Material category)です。
    成形品(Article)の複合品および製品の場合は、製品の下位構成(Complex object component)の情報が必要です。

成形品に対するSVHCの要求事項は何でしょうか?

  • 対象は認可対象候補リストに掲載されたSVHCが成形品中に0.1wt%以上含有、かつ成形品中のSVHCの総量が年間1t以上となる場合、認可対象候補リストに掲載後6ヵ月以内にECHAへ届出する必要があります。
    届出対象者は成形品の製造者あるいは輸入者ですが、EU域外の企業は登録ができないので、「唯一の代理人」(OR:Only Representative)を指名し届出することができます。
    届出の内容は届出者の連絡先、物質の情報(用途、分類)、トン数の範囲(1年間に製造または輸入される成形品中のSVHCの総量)、成形品の使用目的や用途等です。 なお、ECHAへ届出は、物質が年間1t以上となった場合も必要になるので注意が必要です。

REACHとSVHCの関係は?違いは?

  • 前述した通り、REACHは、EUにおける化学物質管理に関する規則(法律)の名称です。一方で、SVHCは高懸念物質(substances of very high concern)としてREACH規則の中で定義される物質群です。REACH規則での認可対象物質はSVHCの中から決定されます。

REACHの制限物質とは何ですか?

  • REACH規則では、登録、評価、認可、制限の4つの要素からなります。そのうち、認可と制限に化学物質のリスト制約があります。
    制限物質は、REACH規則 付属書ⅩⅦに収載されています。
    制限物質は追加され、2020年8月時点で、エントリー数は74になりました。
    制限とは、人の健康や環境にとって受け入れられないリスクのある物質の製造、上市および使用について、EU域内での使用に対して条件を付けたり、禁止することです。
    物質ごとに、制限用途、制限値、除外の条件が異なるため、詳細はREACH規則 付属書ⅩⅦにて、確認する必要があります。
    https://echa.europa.eu/substances-restricted-under-REACH
    一方、認可とは、極めて高い懸念のある物質によるリスクが適切に管理され、経済的及び技術的に実用可能であれば、物質が適当な代替物質又は代替技術で代替されることを確保しながら、域内市場が良好に機能することを確実にすることです。

成形品に対する認可対象物質の要求事項は何ですか?

  • 認可対象物質は、REACH規則の付属書ⅩⅣに記載されている物質ですが、EU域内で製造される成形品とEU域外で製造された成形品をEUに輸出する場合では要求事項が異なります。
    EU域内で製造される成形品に認可対象物質を使用する場合は、認可の取得が必要となります。
    EU域外で製造された成形品に認可対象物質を使用しEUに輸出する場合は、認可の取得は必要ありませんが、SVHCと同じ情報伝達義務(*1)と届出義務(*2)が必要となります。
    *1:濃度が0.1wt%を超える場合
    *2:濃度が0.1wt%を超える場合で、かつEUに輸出する物質の総量が年間1tを超える場合
    (但しその用途が登録されていない場合)

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