アプライド マテリアルズ ジャパン株式会社
(2026.5)
フィールド サービス オペレーション 山口 雄大
アプライド マテリアルズ ジャパンについて
当社は、米国に本社を置くアプライド マテリアルズがアジアで初めて設立した現地法人です。半導体やフラットパネルディスプレイ製造に用いられる革新的な装置や技術を日本のお客様に提供しています。また、システム改善や自動化ソフトウェアの構築、ファブコンサルティングといったサービスを通じ、お客様の開発ならびに量産工場における生産性向上を支援しています。私たちは、アプライド マテリアルズのグローバルな研究開発拠点と緊密に連携することでお客様に最先端の技術を提供し、日本の半導体・ディスプレイ業界に貢献しています。

2026年開設予定、研究開発拠点「EPIC センター」(アメリカ シリコンバレー)
半導体業界にはいったきっかけ
私は就職活動を進めるにあたり、企業選びの軸を3つに定めていました。
1つ目は、化学専攻を活かせることです。大学から大学院にかけて高分子の物性や構造について研究を続けてきましたが、就職では研究テーマそのものを活かすことよりも、研究を通じて培った化学の知識や考え方を役立てたいと考えていました。2つ目は、将来性のある企業や業界で働くことです。ここでいう将来性とは、世の中の役に立ち、今後も市場規模が大きくなる工業分野であるという意味に近いです。変化が激しい時代だからこそ、長く価値を持ち続ける業界でキャリアを築きたいという思いがありました。3つ目は、グローバルな企業で働くことです。もともと海外旅行が趣味で、訪れた国々で様々な人々と関わる中で、国内外を問わず活躍できる人材になりたいという気持ちが強くなりました。異なる文化や価値観に触れながら働ける環境に身を置きたいと考えたことも、この軸に繋がっています。
これら3つの軸を意識しながら企業を探していたとき、目に留まったのが アプライド マテリアルズ ジャパンでした。企業研究を進める中で、アプライド マテリアルズは半導体製造の前工程において幅広いプロセス装置を提供しており、工程をまたいだ最適化を可能にするソリューションを提供できる点に強みがあることを知りました。また、父が半導体業界で働いていることもあり、中学生の頃にクリーンルームを見学した経験があったため、半導体業界で働くイメージを他の学生よりも具体的に持っていました。そうした背景も、ご縁をいただくことに繋がったと感じています。
オフィスのブース前で記念撮影
仕事内容、働き方、やりがい
私は現在、CVD(化学気相成長)の一種である エピタキシャル成長(Epi) 装置を担当する Customer Engineer(CE)として働いています。CE は主にお客様の工場内で当社の装置の保守、メンテナンス、トラブルシューティングなどを行い、装置の安定稼働と稼働率向上に取り組んでいます。
半導体製造の現場では、プロセスごとの複雑な反応や材料特性が重なり合い、一つひとつの工程が精密に制御されています。こうした環境で、化学専攻が活きる場面は数多く存在します。まず大きな強みとなるのが、プロセス理解の速さです。化学反応の仕組みや材料の特性を体系的に学んできた経験は、半導体プロセスの本質を直感的に捉える助けとなります。新しい工程に触れた際も、基礎理論に基づいて円滑に理解を深めることができます。さらに、化学的性質や危険性に対する深い知識は、安全性を最優先とした判断や行動につながります。半導体製造には薬液、ガス、プラズマなど多様な化学要素が登場します。私の担当している Epi 装置では非常に危険なガスを数多く扱いますが、それぞれの潜在的リスクを正しく見極め、適切な対策を講じられる点は、現場にとって大きな利点だと思います。加えて、お客様から寄せられる製造プロセスのトラブルに対しても、化学的な見地から原因を推測し、最適な改善案を提案できます。私のような化学専攻以外にも多様な専門性とバックグラウンドを持つ人材がそれぞれの強みを発揮して活躍しているのが半導体業界の面白さだと思います。

当社の Epi 装置の最新機種「Centura Xtera Epi」
ただ、半導体業界で求められるのは化学の知識だけではありません。装置を扱う上では電気・機械・化学が横断的に必要とされ、幅広い専門性が求められます。私自身、入社当初は装置の電気回路図やガスの配管図を読み解くことすらできず、トラブルの解決に時間がかかることや作業の手順が思い浮かばない状態でした。しかし、日々の業務を通して少しずつ理解できるようになり、現在ではそれらを活かしてトラブル対応や改善提案を行えるまでになりました。トラブルシューティングの際には、トラブルに対して仮説を立て、検証し、改善に繋げる問題解決力が重要です。また、業務を進める上で不可欠なのが社内外とのコミュニケーション力です。社内のチーム、別の部署、工場のお客様など、多様な関係者との連携の中で、技術的な情報を正確かつ分かりやすく伝えることが円滑な問題解決に繋がります。
特にやりがいを感じる瞬間は、前例のないトラブルや、原因の特定に長い時間を要した問題を解決できたときです。日々の業務では、同僚や上長とともにチームで改善策を検討しながら問題に向き合いますが、時にはチームだけでは解決が難しいケースもあります。そうした場面でも、当社にはハードウェアやソフトウェアの専門家へエスカレーションできる体制が整っており、必要に応じて高度な技術的アドバイスを得ながら解決に向けて進めることができます。自分自身の力でトラブルを解決できたときの達成感はもちろん大きいのですが、他部署と連携しながら原因を突き止めたときには、チームとしての大きな一体感と、自分のスキルが確実に成長しているという手応えをより強く感じます。このように困難なトラブルを解決した瞬間こそがCE の業務の醍醐味とも言えます。
通常業務以外の面でも、グローバル企業ならではの経験をする機会に恵まれています。私は APAC(アジア太平洋地域) の新卒社員と交流するプログラムに参加し、各国の社員と協力しながら他国の取り組みを学び、日本の現場での課題解決に繋げる活動にも携わっています。海外の社員と意見交換をする中で、仕事に対する考え方や文化的価値観の違いに触れることができ、こうした経験は非常に刺激的で自分の視野が大きく広がるきっかけとなりました。さらに、日本固有の課題に向き合うために、私は社内で ERG(Employee Resource Group)を立ち上げ、次世代社員に向けたコミュニティづくりや、社内イベントの企画・運営、学習機会の提供などにも取り組んでいます。メンバーを巻き込みながら活動を推進する過程では、役員の方々へプロジェクトを提案し、普段の業務では関わる機会の少ない部署の方々と協力しながら一つのプロジェクトを形にしていく経験もあります。通常業務とは異なる視点やスキルが求められる環境に身を置くことで、組織運営やリーダーシップ、コミュニケーション力など、日常の業務だけでは得られない成長を実感しています。そして何より、こうした取り組みが自然に生まれ、社員の自主的な挑戦を後押しする文化がある環境に、グローバル企業ならではの魅力を強く感じています。

シンガポールで APAC の新卒社員と交流
仕事と同じくらい大切にしているのがプライベートの時間です。私は海外旅行が趣味で、社会人になってからも毎年どこかに足を運んでいます。海外旅行を通じて、異文化に触れながら様々な価値観やコミュニケーションスタイルに触れてきた経験は、グローバルな環境で働く上で大いに役立っています。この記事を書いている少し前もエジプトを訪れました。仕事に全力で向き合いながら、プライベートも本気で楽しめることが、今の働き方の大きな魅力だと感じています。

エジプトでラクダの背に揺られてピラミッド観光
学生の皆様へ
半導体は、近年の膨大なデータ処理の増加や AI 技術の急速な発展によって、今後も更なる需要と進化が見込まれている分野です。私自身、半導体に関するイベントや大学、学会で講演を行った際に、学生の皆さんの中には半導体業界に対してネガティブなイメージを持っている方が少なくないことを実感しました。確かに部署や担当業務によって忙しさの波はありますし、工場が稼働し続ける現場である以上、時にはシビアな対応を求められる場面もあります。一方で、半導体業界で働く魅力は、自分の仕事が身近な製品に確実に繋がっている実感が得られることだと思います。スマートフォンや自動車、家電、さらには AI やクラウドサービスまで、現代社会を支えるほぼ全ての技術の根底には半導体が存在しています。それを製造する装置に携わり、自分の技術も世界を動かしていると感じられると、この業界の魅力がより見えてくるのではないかと思います。